ガア助のエール【3】

フレーー、フレーー、ガアーー助!
フレ、フレ、ガア助!フレ、フレ、ガア助!

TVドラマ最終話「最後の授業」より

TVドラマ『みにくいアヒルの子』のエピローグは、まちゃ子が北海道に帰省すると突然打ち明けるシーンから始まりますが、ガア助はすぐさま空港行きのバスまで彼女を追いかけます。それは第1話のプロローグで、美容師を目指して上京するまちゃ子を北浜駅(北海道)まで追いかけたガア助を思い出させます。最終話のエピローグはプロローグと重なりながら、この物語は一旦終わるけれど、ガア助や子どもたちの未来は続いていくのだということも暗示しているようです。

真夏の1学期の最終日、終業式をサボったにもかかわらずまちゃ子に逃げ切られ、街中で落胆していたガア助の前に、4年3組の子どもたちが集まって来ます。体面を保とうとごまかすガア助と美和子たちのやり取りがまた名シーンなのですが(「先生の通知表」や「女満別までの航空券」など)、結局ガア助は北海道までまちゃ子を追いかけて行く決心をし、さっそうとガア助号にまたがります。そして、ここで起きる最後のエールは、あやめ台小学校4年3組全員が贈る「ガア助のためのエール」なのでした。
バイクのエンジンがかかった瞬間、和雄がクラスの先頭に駆けて来、目一杯叫びます。第5話で見せた彼とはやや異なり(あるいは和雄だけでなく他の子どもたちでさえ)、少したくましくなったように見えるのは管理人の私だけでしょうか。実は、最後のエールも小説版では書かれていないのですが、やはりこの「ガア助のエール」は、TVドラマにおいて周到に準備されたモチーフであるように思います。

ガア助に届いた4年3組全員のエールは、それまでで一番力強いエールだったはずです。ガア助が子どもたちに本気でぶつけてきた愛情が、“エール交換”のように、しかも何倍にもなって返ってきたのです。そこには困難を共に乗り越え、心をかよわせ合ったというお互いの信頼があるのです。赴任してきたばかりのガア助が「イイ生徒より、幸せな生徒になろうぜ!」と語った頃、まだ誰も平泉玩助を信じてはいませんでした(教室の生徒は怪訝な、冷め切った表情をしていました)。今度は、その子どもたちが本気で人を信じるということを学び、先生に愛と感謝のエールを届けたのです。
ガア助は去り際に「夏休みが終わったら、また会おうぜ!イエイ!」と空の一番星を指さします。子どもたちも「イエーイ!」と応えるわけですが、思い返せば第1話のエールの先には清の死という厳しい現実が待ち受けていました。しかし、その死を乗り越え、あるいは聖也と剛の“いじめ問題”を乗り越え、最終話のエールにはガア助と子どもたちの希望ある未来が込められているのではないでしょうか。

このドラマは一人の教師が主人公であるけれど、その魅力は教育や学校現場という主題のみに帰するものではなく、人が生きていくことの喜びを、ガア助先生とその教え子たちという両者の変容を通して教えてくれるところにあるのではないでしょうか。
よろしければ「ガア助のエール」を軸に改めてドラマを追ってみてください。ご感想お寄せいただけましたら幸いです(毎回もう少し短めな投稿を目指します…)。

※引用図版の出典:
VHS『みにくいアヒルの子4』(1996年、日本コロムビア)
最終話「最後の授業」のワンシーンより。

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